明治神宮を訪れる多くの方が最初に抱く疑問、それは「ここにはどんな神様がいるのだろう」ということではないでしょうか。
実は明治神宮は、日本の神社の中でも特別な存在です。なぜなら、神話の神々ではなく、実在した歴史上の人物を神様として祀っているからです。年間300万人以上が初詣に訪れるこの神社の本当の意味を理解することで、参拝がより深い体験になるはずです。
この記事で学べること
- 明治神宮の祭神は明治天皇と昭憲皇太后の御神霊である
- 神話の神様ではなく近代の人物が祀られている理由
- 年間300万人が初詣に訪れる日本有数のパワースポット
- 10万本の献木で作られた人工林が100年で原生林化した奇跡
- 参拝方法は他の神社と同じ二礼二拍手一礼で問題ない
明治神宮の祭神:明治天皇と昭憲皇太后
明治神宮には、明治天皇(第122代天皇)と昭憲皇太后(明治天皇の皇后)の御神霊が祀られています。
これは多くの神社とは異なる特徴です。
一般的な神社では、天照大神や須佐之男命といった日本神話に登場する神々を祀っています。しかし明治神宮は、1912年(明治45年)に崩御された明治天皇と、1914年(大正3年)に崩御された昭憲皇太后という、近代日本の実在の人物を神様として祀っているのです。
なぜ明治天皇が神様として祀られているのか

明治天皇は「現人神(あらひとがみ)」として崇敬されていました。
明治維新から日露戦争まで、日本の近代化を導いた功績は計り知れません。王政復古により天皇中心の国家体制を確立し、五箇条の御誓文を発布して新しい国の方向性を示しました。そして西洋文明を積極的に取り入れながらも、日本の伝統文化を大切にする姿勢を貫いたのです。
1920年(大正9年)11月1日に創建された明治神宮は、国民の総意によって建設されました。
全国から約10万本の樹木が献木され、延べ11万人の青年団が勤労奉仕として建設に参加しました。
これほど多くの国民が自発的に参加した神社建設は、日本の歴史上でも類を見ません。
300万人以上
約10万本
延べ11万人
明治神宮の御利益と参拝の意味

明治神宮の主な御利益は、皇室弥栄・世界平和・家内安全・身体安全・厄除け・合格祈願・商売繁盛・良縁祈願など幅広いものです。
特に良縁や夫婦円満のパワースポットとして知られています。
これは明治天皇と昭憲皇太后が仲睦まじい御夫婦であったことに由来します。昭憲皇太后は女子教育や社会福祉に尽力され、日本赤十字社の発展にも貢献されました。お二人の深い絆と国民への愛情が、今も参拝者に良い影響を与えていると信じられています。
境内にある「夫婦楠」は、2本の楠が寄り添うように立っており、縁結びのシンボルとして親しまれています。
永遠の杜:100年で完成した奇跡の森

明治神宮の森は完全な人工林です。
しかし今では、まるで太古から存在していたかのような原生林の姿を見せています。
1916年から始まった造営計画では、全国から献木された約10万本の樹木が植えられました。造園学者たちは150年後の完成を目指して綿密な計画を立てましたが、実際には100年足らずで理想の森が実現しました。
50-100年:広葉樹が成長し、針葉樹と入れ替わる
100年以降:照葉樹林として安定した生態系を形成
現在、この70万平方メートルの森には、約3000種の生物が生息しています。
都心にありながら、これほど豊かな生態系を持つ森は世界的にも稀です。
参拝方法と作法について
明治神宮の参拝方法は、一般的な神社と同じ「二礼二拍手一礼」です。
歴史上の人物を祀っているからといって、特別な作法があるわけではありません。
参道を歩く際は、中央を避けて端を歩きます。中央は神様の通り道とされているためです。手水舎では、左手、右手、口、左手の順に清め、最後に柄杓の柄を洗います。
拝殿での参拝後は、御朱印をいただくこともできます。
明治神宮の御朱印は、シンプルながら格調高いデザインで人気があります。
他の皇室ゆかりの神社との違い
日本には皇室に関連する神社が複数存在しますが、それぞれ異なる性格を持っています。
靖国神社は戦没者を祀る神社であり、明治神宮とは根本的に性格が異なります。北海道神宮も明治天皇を祀っていますが、開拓三神も併せて祀られており、北海道開拓の守護神としての性格が強いです。
伊勢神宮は天照大神を祀る神社で、皇室の祖先神を祀っています。
明治神宮は、近代日本の礎を築いた明治天皇個人への崇敬が中心となっている点で独特です。
現代における明治神宮の役割
明治神宮は今も日本の精神文化の中心地の一つです。
正月三が日だけで300万人以上が参拝し、年間を通じて約1000万人が訪れます。
結婚式も年間約1500組が挙げられ、芸能人やスポーツ選手の挙式でも話題になります。
国際的にも注目されており、外国人観光客にとって「日本らしさ」を体験できる場所として人気です。都心にありながら豊かな自然に囲まれた環境は、日本三大神宮とは異なる都市型神社の理想形を示しています。
よくある質問
Q1: 明治神宮では神話の神様は祀られていないのですか?
その通りです。明治神宮の祭神は明治天皇と昭憲皇太后のみで、天照大神などの神話の神々は祀られていません。これは明治神宮の大きな特徴の一つです。
Q2: なぜ明治天皇は神様になれたのですか?
明治時代、天皇は「現人神」として崇敬されていました。また、日本を近代国家へと導いた功績と、国民からの深い敬愛の念が、神社創建につながりました。国民の総意による創建という点も重要です。
Q3: 明治神宮の御利益は他の神社と違いますか?
基本的な御利益(家内安全、商売繁盛など)は他の神社と共通していますが、特に良縁・夫婦円満のパワースポットとして知られています。これは明治天皇と昭憲皇太后の仲睦まじさに由来します。
Q4: 外国人でも参拝して問題ありませんか?
もちろん問題ありません。宗教や国籍に関係なく、誰でも参拝できます。実際、多くの外国人観光客が訪れており、英語の案内も充実しています。参拝作法を守れば、どなたでも歓迎されます。
Q5: 明治神宮の森は本当に人工林なのですか?
はい、100%人工林です。1920年の創建時に全国から献木された約10万本の樹木から始まりました。しかし現在では、自然の生態系が確立され、まるで原生林のような豊かな森になっています。
明治神宮は、神話の神々ではなく、近代日本を築いた明治天皇と昭憲皇太后を祀る特別な神社です。その創建には国民の総意が込められ、100年の時を経て、都心の奇跡の森として多くの人々の心の拠り所となっています。参拝される際は、この歴史的背景を理解した上で訪れると、より深い体験ができるでしょう。






